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鍼灸学会 症例報告

毎年数回行われる全国鍼灸学会にて発表した手根管症候群についての内容を紹介します。

手根管症候群

主訴: 右手前腕の違和感及び手掌から1~4指末端までの痺れ感と痛み

患者名 I・S さん

性別 女性

年齢 64歳

仕事 ハウスキーパー(清掃業) 月~金曜日まで8H/日 重い荷物の運搬等

社会歴・個人歴 バスケットボール、バレーボール 酒 タバコはしない 再婚 

既往歴 1993年 子宮癌 アキレス腱断裂 2003年 パニック障害発症(現在も服薬中)

家族歴 高血圧→実母

西洋医学的病名 「手根管症候群」・・・病院にて「メチコバール」の処方のみ。

東洋医学的病名 「心包経脈病症」(主病症) 肝病症(副病症)

来院開始 平成23年1月5日

来院日数 7回 (平成23年2月16日まで)

通院間隔 週一度の来院

解釈モデル 「手根管症候群の手術の回避を鍼灸で可能か、可能なら鍼灸で改善を望む」

 

治療目的・方針 手根管症候群による手掌から1~4指末端までの痺れ感や、握力の低下の改善及び、右頚肩部の疼痛の減少。

 

手根管症候群 豆状骨と舟状骨の間を横手根靭帯、有釣骨、月状骨、舟状骨、三角骨に囲まれた狭いスペースでその中をおのおの4本の深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、正中神経が通っており様々な原因により手根管内圧が上昇し、正中神経が圧迫される。

 

好発年齢 性差では、女性に多く発症、好発年齢は妊娠出産期と更年期に多くその中で更年期が6割占めており比較的高頻度に見られ男性では手作業の労働者が多い。なお腎透析患者にも多く見られる。

 

現症 右手前腕の違和感、手掌の痺れ感。手掌に紙が一枚貼った感じ(Pt)痛み握力の低下、動作時、安静時痛ともに(+)、2007年より右首肩部の強固な痛み

 

 東洋医学的症候

肝症候 筋の引きつり・痙攣・痺れ・爪の異常・こむら返り

心症候 夢を見やすい・胸部に違和感

脾症候 食欲がない・食後におなかが張る・腹痛・吐き気・胸焼け・げっぷ・倦怠感

肺症候 たんが絡む

腎症候 足腰にだるさがある

触診 兪穴 厥陰兪 肝兪…発汗 喜按 中脘…圧痛 関元 天枢…軟弱

 

現代医学的症候

ジャクソンテスト ()

スパーリングテスト R(-) L(-)

チネル手根管 R(+) L(-)

ファーレンテストR(+) L(-)

上腕二等筋反射 R(+) L(+)

腕橈骨筋反射 R(+) L(+)

上腕三頭筋反射 R(+) L(+)

触覚検査C6 R(6) L(10)

触覚検査C7 R(6) L(10)

触覚検査C8 R(6) L(10)

 

病態把握

現代医学的病態把握 手掌部、及び1~4指までの痺れ感があり頚椎症由来の頚肩腕症候群も考慮出来るがジャクソンテスト() スパーリングテストR(-) L(-)と反応が無く手根管部のチネルサインR(+) L(−)ファーレンテストR(+) L(-) 年齢的考慮、手を酷使する清掃業という観念から右手手根管症候群の疑い。

東洋医学的病態把握 「急性で飲食労倦など明確な原因が無く、悪寒発熱が同時に出現」に該当せず明らかな安静時痛、動作時痛があり手掌部に、沿った愁訴がある事から心包経脈病症とする。

 

 

治療 労宮-内関 大陵-郄門 曲池-合谷 LFEA15ヘルツ 10分 40/16

単刺にて右天柱 右風池 右肩井 右巨骨 右天枢 左右肝兪 

 40/18

 

上記治療を5回の予定で説明

 

評価 1月5日 右手の握る感覚の上昇、違和感の軽減(Pt)治療後3日間はすごく楽だった(10→7)、4日目以降(10→7→9)に痛みが落ち着く。

1月12日 握力検査開始(右きき) 治療前 R(16kg) L(16kg)が治療後R(21kg)まで回復、手掌の違和感は残存するも次回治療回まで握力は保持する。

1月19日 安静時痛(-)、チネル手根管にて3~4指に掛けて放散痛はあるが手の握りやすさやすさは改善(生活動作)とのこと。

1月26日 手部の違和感残存、握力R(21kg)、握り易さも変化無し、症状の停滞か。

2月2日 安静時痛(-)、チネル手根管にて3~4指に掛けて放散痛はあるが手の握りやすさ(10-5)まで改善しているが5回の治療予定中、4回で切り上げ更に手根管に近いアプローチへと転換、治療を以下の様に変更。

 

右手手根管に頭側から横刺にて手掌及び1~4指まで響き感を与えるまで(症状部位に響き感が起きるように)刺入(正中神経を挟む様に)、そのままLFEA20ヘルツ 40/18に変更

 

右手手部に鈍い感じが出現(療後3日間)、しかし4日目より握り易さの軽快感、物を掴んだ時の手掌部の痛みの軽減、チネル手根管の軽減、握力26kgまで上昇と一番高い評価が見られた

2月9日 清掃業の多忙、孫の世話、娘さんの内職の作業の手伝い(3h/1日)など手の酷使が重なり来院時握力16kgまで低下、放散痛は来院時に対して半分まで低下している。治療後握力24kg。

2月16日 清掃業の為か握力の変化は見られず(右手薬指のばね指の悪化)

手掌及び1~4指までの痛みは2月9日より良好のまま(Pt

 

 今回の手根管症候群の治療で患者さんが望んだ事は「手術は不安があるから、鍼灸治療で治したい」とのことで一番の望みは手術を「回避」したい事である。勿論、最善を尽くすが握力低下が顕著にあり手掌から手指までの痺れ感、手根管を指で軽く叩くだけでその痺れ感が増強する。症状は重い。患者さんには最初の問診の段階から治療方法、治療回数の予定、治療予後、そして重要なのは「根気のいる治療が必要ということを理解していただく」ことである。神経系の治療は、特に関節など日常生活で酷使する箇所は症状が改善しても生活していればまた症状が悪化することがありえる。つまり術者、患者が治療方法と治療効果を納得したうえで治療を重ねる事が必要ではないだろうか。勿論、思った効果が得られず(今回でも最初の治療手技を5回の予定を4回に減らした)方向転換することもある、でもそれは患者さんと術者の中でより良い効果を求めた上での事である。今回は手術をするかどうかの日時まで治療回数が二回しか取れず、その中で限られた時間の中で最大の理解を頂戴しそして互いの相違ない治療過程への想いが必要だと感じた。整形外科の先生が手術を勧める症状に普通ならあまり断りを入れたくないものである。患者さん自身も判断に迷ったに違いない。けど最終的には手術を回避する気持ちが強かった。それには①十分な治療説明②目に見える治療効果③次の治療の存在④家族の協力の4点が必要ではないだろうか。

 

 

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